【薬事物流の最前線】医薬品・医療機器の物流と薬機法の動向について
はじめに
皆さんは「薬事物流」というワードをご存じでしょうか。
薬事物流とは、医薬品や医療機器が製造され、お客様の手元に届くまでの重要なプロセスの一つです。
この記事では薬事物流の核心、そして薬機法の最新の動向に焦点を当てて解説していきます。薬事物流に必要となる資格の取得方法、業界のネットワークの活用方法などを詳しく見ていきましょう。また、薬機法の最新情報をどのようにキャッチアップすれば良いのか、そのコツや方法も紹介していますのでぜひご一読ください。
「薬事物流」とは?医薬品・医療機器の物流のポイント
「薬事物流」は、医薬品や医療機器などを取り扱っている物流の総称で、医薬品や医療機器の物流は、一般の物流とは一部異なる特有の特徴があります。
例としては
〇製品の取扱いに業許可や認証を必要とする場合がある。
〇温度管理、衛生管理、品質管理について、手順を規定し一定の水準を保つ必要がある場合がある。
〇薬機法に基づく製品の取り扱いを行っている。
これらの要件を満たすことで、医薬品や医療機器など薬事物流を行うことが出来ます。
業許可や承認の種類
薬機法における業許可や認証の取得は、医薬品や医療機器などの安全性と品質を確保するための重要な要件です。
薬機法の業許可制度は、医薬品や医療機器の製造販売・製造・販売に関わる業者が、一定の基準や要件を満たしていることを行政が確認し承認するための制度です。この制度の目的は、製品の安全性と品質を確保することにあります。
業許可や認証には以下のような特徴や要点があります。
〇製造販売業の許可
製造販売業許可とは、医薬品や医療機器を国内市場に出荷・流通させるために必要な許可です。製品を日本国内市場に出荷する最終責任を負う業者に対する許可です。製造販売業許可は、製造業とは別の許可であり、製造行為を行うことはできません
〇製造業許可
医薬品や医療機器の製造行為を行うために必要な許可です。幾つかの区分に分かれており、どのような製造行為を行うかで必要な区分が異なります。物流においては主に包装表示保管の区分を必要とし、製品の箱詰めや法定ラベルの貼りつけなど製造行為を行う場合は必要になります。
〇ISO13485認証
ISO13485は、医療機器や体外診断用医薬品を取り扱う組織に適用される品質マネジメントシステム規格です。医療機器を取り扱う組織の品質システムが規制要求事項に適合していることを証明するために活用されています。
これらの業許可や認証の要件を満たすことで、医薬品や医療機器の安全性と品質が確保されます。お客様の信頼を得るためにも、これらの要件の理解と遵守が不可欠です。
品質管理の必要性
品質管理は、医薬品や医療機器の物流における重要な要素の一つです。
〇温度の管理
医薬品や医療機器は適切な温度を維持することで、劣化を防ぎ、本来の効果効能に悪影響がでないようにします。
〇使用期限の管理
製品ごとに使用期限があります。医薬品の使用期限を確実に守るため、倉庫側では製品情報をWMS(在庫管理システム)に登録し管理します。使用期限間近でアラートを出す、使用できなくなった製品は不適合品として別管理をするなど、製品の状態に合わせて在庫の管理を行い、安全な製品をお客様にお送りすることができるように仕組みを作ります
〇保管場所の管理
製品を保管する現場の環境も大切です。5S(整理整頓清潔清掃躾)を徹底し、製品を安全に扱えるようにする事は重要です。
以上のように、品質管理は医薬品や医療機器の物流において、品質・安全性・効果の維持のために不可欠な要素です。適切な管理を行うことで、お客様に安全かつ高品質な医薬品を提供する事ができます。
薬機法の改正と業務への影響
薬機法の改正は、医薬品や医療機器の製造販売・製造・販売に関わる業務に大きな影響を与えることが多いです。近年の主要な改正点と、それに伴う物流業務の変化について説明します。
最近の薬機法の主要な改正点
近年の薬機法の改正は、医薬品や医療機器の安全性向上と、新しい医療技術の普及を目的としています。以下は、その主要な改正点をいくつか挙げたものです。
● 承認制度の見直し:新しい医薬品や治療法の開発を促進するため、承認制度が見直されました。これにより、効果が期待される新薬や治療法の迅速な承認が可能となり、患者様への提供が早まります。
● 再評価・再審査の強化:医薬品の安全性確保のため、市場導入後の再評価や再審査が強化されました。特に長期間市場に出ている医薬品について、新たな副作用や安全性の問題がないかを定期的に確認することとなりました。
● 医療機器の規制強化:医療機器の技術進化や多様化を受け、より厳格な規制が導入されました。特に高リスクな医療機器については、その安全性や効果に関するデータの提出が強化されました。
● オンライン販売の規制:インターネットを利用した医薬品の販売について、消費者の安全を確保するための新しいガイドラインや規制が導入されました。
これらの改正は、医薬品や医療機器の安全性を高めるとともに、最新の医療技術の普及を促進することを目的としています。業界関係者は、これらの改正内容を正確に理解し、適切な対応を行う必要があります。
改正に伴う物流業務の変化
薬機法の改正は、医薬品や医療機器の物流業務にも影響を及ぼします。以下は、主な変化点をいくつか挙げたものです。
トレーサビリティの強化
新しい規制により、医薬品や医療機器の流通過程のトレーサビリティがより求められるようになりました。これにより、物流業者は、製品の追跡や情報管理システムの導入が求められるようになりました。
安全対策の強化
再評価・再審査の強化や、新しい医薬品・医療機器の取り扱いに関する知識が必要となりました。物流業者も、これらの製品の適切な保管や運搬方法についての研修や教育が必要となるでしょう。
輸入業務の複雑化
オンライン販売の規制強化や、新しい承認制度の導入により、輸入業務がより複雑化しました。物流業者は、正確な輸入手続きや関税の計算、関連する書類の準備など、詳細な業務対応が求められるようになりました。
これらの変化を適切に捉え、物流業務を効率的に遂行することが、業者の競争力を維持するための鍵となるでしょう。
薬事物流のプロになるためのステップとは?
薬事物流のプロになるためには、専門的な知識や技術、そして業界の動向に敏感であることが求められます。
業務において必要な業許可や認証の取得は、その過程で色々な情報を得ることができます。
最新の薬機法の動向に常に目を光らせる!
薬事物流の専門家として、最新の薬機法の動向を常に把握していることは不可欠です。薬機法は医薬品や医療機器の取り扱いに直接関わるため、その最新の動向に敏感であることが求められます。以下は、そのための具体的な方法を示します。
● 公式情報源の定期チェック:厚生労働省や関連する行政機関の公式サイト、公報を定期的にチェックすることで、薬機法の最新の改正情報や関連通知を確認することができます。
● 業界専門誌の購読:薬機法や医薬品、医療機器に関する専門誌は、業界の最新動向や専門家の見解など、深い情報を提供しています。これらの購読を通じて、専門的な知識を更新し続けることができます。
● セミナーや研修会への参加:薬機法の改正や関連するトピックスに関するセミナーや研修会が頻繁に開催されています。これらに参加することで、直接専門家の話を聞くことができ、質問やディスカッションの場も持つことができます。
● 業界内の情報交換:既に築いている業界のネットワークを活用して、最新の情報や知識を共有することが推奨されます。同業者や関連業界の人々との情報交換は、薬機法の動向を正確に把握する上で非常に有効です。
● 専門家やコンサルタントとの連携:薬機法の専門家やコンサルタントと連携し、定期的に情報を交換することで、より深い理解や専門的なアドバイスを得ることができます。
● 展示会や業界イベントへの参加:薬機法や物流関連の展示会やイベントに出展・参加することで、最新の製品やサービスを知ることができるとともに、業界内の人脈を拡大するチャンスとなります。
これらの方法を取り入れることで、薬機法の最新の動向を常にキャッチアップし、専門家としての信頼性や業務の質を高めることができるでしょう。
薬事物流のプロフェッショナルを目指して
本記事では、薬事物流とは何か、そしてその重要性について詳しく解説しました。薬事物流は、医薬品や医療機器が安全かつ迅速に私たちの手元に届くためのプロセスを指しますが、それを管理監督する為に薬機法の存在があります。
また、目指す方々のために薬機法の動向を常に追いかけるための方法についても触れてきました。これらの情報は、薬事物流の専門家として業務を行う為の重要なステップと言えるでしょう。
薬事物流や薬機法に関する知識を深め、業界のプロフェッショナルとして成長するためには、常に最新の情報をキャッチアップすることが不可欠です。この記事が、薬事物流の分野でのキャリアアップや業務の質向上を目指す方々の参考となれば幸いです。